開発エピソード|craft tea
古くから“お茶請け”として親しまれてきた和三盆ですが、ここでは主役。
上品な甘みとくちどけを、より深く味わうためのお茶を……そんな想いで作ったのが、HIYORIの【craft tea】です。
商品開発までの道のりを、スタッフの宮武彩さんに語っていただきました。
「飲んでみたい」の気持ちをくすぐる
これまで様々な日本茶の仕事に携わってきた宮武さんは、プライベートでも大の日本茶好き。
しかし今回は、普段日本茶に馴染みのないひとにも「飲んでみたいな」と言ってもらえるようなお茶を作ろう、という所からスタートしました。
「日本茶って、飲み慣れない人にとってはどこか難しそうなイメージがあると思います。誰でも気軽に手に取れるよう、親しみやすい“とっかかり”を探しました」
辿り着いたのは、見た目にも楽しめる食材を茶葉に加えてみる、というアイデア。
味にも個性がプラスされ、つい手に取ってみたくなる面白さが生まれました。
瀬戸内を感じられる食材で
二種類の【craft tea】に使用する茶葉は、どちらも香川県高瀬産を選びました。
あまり聞きなれない産地名ですが、実は香川県内で作られるお茶の8割が高瀬育ち。
地産地消が基本なので、ほとんど県外に出回りません。
かつて、昭和天皇皇后両陛下が香川県を訪れた際にお飲みいただいたのも、高瀬の新茶でした。知る人ぞ知る、隠れた銘茶。
高瀬茶業組合の指導の下で完成したお茶たちは、どれも100%高瀬の茶葉を使用。
穏やかな茶畑でのびのびと栽培された茶葉が、管理の行き届いた工場で丁寧に製品化されています。
渋みと甘みのバランスが良く、素朴ながらも品のある味わい。
その飾らない美味しさは、【craft tea】のベースにぴったりです。
和紅茶(べに茶)に合わせたのは、愛媛県岩木島産の温州蜜柑チップス。
7種類以上の柑橘チップスを試した結果、酸味と甘みがいちばんおいしく感じられたのが温州蜜柑でした。
旨味の染み出た和紅茶が、和三盆の余韻を優しくキャッチしてくれます。
ちなみに……べに茶とは、高瀬オリジナルの“和製”紅茶のこと。
地元でとれた「めいりょく」という銘柄の茶葉を使用しており、控えめで優しい甘みとフルーティな香りが特徴です。
洋菓子にはもちろん、和菓子にもあうのが嬉しいところ。幅広いシーンに華を添えてくれる、素敵な紅茶です。
煎茶に合わせたのは、ちょっと意外な台湾産の菊花。
やわらかな甘い香りが特徴で、台湾では烏龍茶にブレンドして飲まれることも。
今回は、漢方薬にも使用されるほど上質な有機栽培の「杭菊花」を選びました。
ベースとなる高瀬の煎茶は、強い旨味と適度な清涼感が特徴的な、まさに王道の味。
煎茶のキレと菊花のまろやかさ……対照的な味わいが絶妙にマッチし、和三盆の繊細な風味を引き立ててくれます。お茶の中で、菊がふわっと開く様子も素敵。
「煎茶の味が和三盆に勝ち過ぎないようにどうすればいいか、かなり苦戦しました。HIYORIのメンバー内でも試飲を重ね、その中で菊花を入れるというアイディアが出てきて……やってみると、びっくりするほど美味しくなったんです」
こだわりは、見た目や形にも
“のし袋”風のラッピングをほどこしたようなパッケージは、贈り物にぴったり。
ぱっと見ただけでは日本茶だと気が付かないような、シンプルなデザインに仕上げました。
封を開けると、茶葉と蜜柑・菊の花が別々に入っています。
全ての材料をティーバッグにまとめず、あえて別にしたのは、皆さんにお茶を淹れる“楽しさ”も味わってほしいから。
「自分でやるのって、おもしろいじゃないですか。茶葉をいれて、蜜柑や菊もいれて……って。その“楽しさ”がきっかけで、お茶と和三盆により興味を持ってもらえたら嬉しいです」
日本茶のイメージが変わる、HIYORIの【craft tea】。
ぜひお試しあれ!